総合資格学院の『実戦課題①』が難しいとの声を多数頂いたので、いつものように簡単に解いてみました。
ご参考になるかわかりませんが、少しでもお役に立てばと思います。
※課題文を掲載する事は出来ませんので、総合資格学院生以外の受験生は申し訳ないです。
エスキスの雰囲気だけ感じてくれたらと思います。
また僕がエスキス中思った事を勝手に解説しているだけで、このプランが正しい保証もありませんし、総合資格学院の教え方・考え方等一切関係ありません事ご了承下さいませ。
僕がエスキス時間30~40分で80点の図面を目指した結果こういうプランになったので皆様ご参考にして下さい♪というアドバイスです。
楽しく見て頂ければと思います。
100点の解答は担当の講師のプランを見せてもらって下さい。
きっと素敵なプランだと思います。
実戦課題①のポイント!素直に課題を読み解く事&スパン調整は最後に♪
3階建てで大空間を2箇所設ける課題です。
- 3層吹抜けの配置
- レストラン(厨房)と図書室(図書作業室)までのサービス用駐車場からの動線
上記2点で迷った受験生が多かったのではないでしょうか?
いよいよ応用課題と言う感じですね(*´з`)
今回の課題も一見難しい課題に見えますが、ヒントは課題文の中に必ず隠されています。
そしていつも通りシンプルにプランを考える事を忘れないで下さい。
では、今回も40分で80点のプランを目指してサクッと解いてみます。
エスキス40分 80点プランです(*´з`)
外部条件の整理
最大床面積2700㎡以下 方位西側に45度触れています。
北東側・北西側(低層階有り) 南東側(公園)・南西側道路
建物地上3階 設備関係 特になし 駐車場 利用者2台 サービス1台 駐輪場20台
その他の施設 屋外庭園150㎡3階指定(和室から鑑賞指定)
ヘリアキ検討 X方向敷地46m Y方向敷地35m
X方向は46m-42m=4m 東西に2mずつ振り分ける
Y方向は35m-28m=7m 北側5m 南側2m振り分ける
※ヘリアキの余りがない為今回はスパン調整が難しい。
スパン調整の場合は一部7mを6mに変更してその1mを他のスパンに振り分ける
例 X方向7m×6スパン→777777を777768等エスキス時は柔軟に考える。
建物の形状は基本通り42m×28m (X 7m×6スパン Y 7m×4スパン)
42m×28mの総3階建てで計画して、最大床面積に近づけるようにコマ数を削っていきます。
42m×28m=1176㎡×3階=3528㎡ 最大床面積3528㎡-2700㎡=828㎡
42㎡(6m×7m) 828÷42=20コマ
49㎡(7m×7m) 828÷49=17コマ
49㎡×17コマ=-833㎡+3528㎡=2695㎡≦2700㎡
最初は7m×7mで進めるので17コマ全体で削れば良いという意味です。
外構の検討
駐車場の計画は景観に期待出来ない南西側に管理部門を配置します。
その為サービス用駐車場を南西側、利用者用駐車場を南側でスタート。
駐輪場は20台と台数が少ない為特にきにせず先に進みます。
後屋上庭園は3階指定&日当たりに配慮との指定がありますので、南東or南側に計画します。
※和室から鑑賞出来るように配慮する事を忘れないで下さい。
管理部門の検討
管理部門は景観に期待出来ない南西側に配置したので、この課題のメインの要求室である図書室は景観に配慮して南東側に配置します。
その為図書作業室までのサービス用駐車場からの動線に配慮して管理部門を南西側より北側に計画しました。
管理部門は職員休憩室と図書作業室のみとなりますので、先に要求室の計画をやっていきます。
条件整理を一度しておきましょう♪
今回の課題は部門の設定がされておらず各自考えて良い事になっています。
その為自由度が増して難易度が格段にUPされています。
それでも一つ一つのヒントを紐解いていくとゴールに辿り着けると思います。
では一緒に条件を整理していきます。
まずは、いつも通り大きな要求室から計画していきます。
図書室は特に指定はされていませんが、この課題のメインである図書室は景観に配慮します。
その為南東・南側に計画します。
イベントホールは天井高さ4m以上です。しかし景観等の指定はありません。
最悪南西側でも良い事がわかります。
後の要求室は80㎡以下の為、条件指定がある要求室のみピックアップします。
- ラウンジは公園の景観に配慮
- 託児室は日照に配慮(個人的に想定)
- レストランは公園の景観に配慮
後は特にないですね。
最後に3層吹抜けの配置は約150㎡で『豊かな空間』となるよう指定があります。
まとめ
- 図書室 景観配慮 南東・南側
- イベントホール 特になし
- ラウンジ 公園側指定 南東・南側
- 託児室 指定はないが日照に配慮
- レストラン 公園側指定
- 吹抜け 約150㎡の3層吹き抜け大空間
- 屋外庭園 3階指定 日照に配慮(和室から鑑賞)
以上の事を踏まえると下図のようになると思います。
大空間の配置
イベントホール約150㎡と3層吹き抜け約150㎡を計画していきます。
イベントホールを1階に計画しても良いのですが、3.4番とその上部を使用して4コマで計画すると1.2番が無駄になってしまいます。
その為第一案ではイベントホールを2階に計画する事にしました。
2階の平面図の番号を見て下さい。
1.2.3番どこがイベントホールにふさわしいと思いますか?3番はちょっと厳しそうです。(風除室等がある)
その為1.2番のどちらかが良さそうです。
では、次に3層吹き抜けの配置はどこが良いでしょうか?
『豊かな空間となるように計画する』と指定がありますので、3番以外は効果が薄そうです。
3番に吹抜けを計画するとイベントホールは2番に必然的に決まります。(1番だと2番への廊下が計画出来なくなる)
3層吹き抜けを3番に計画すると階段・EVが邪魔になります。
その為1コマ隣に移動させます。
そうすると下記のようになります。
面積チェック
1階 -0コマ 2階 -4コマ 3階 -11コマ 合計17コマ-15コマ=2コマ
後2コマ削れば最大床面積に近づきます。
小さな要求室を整理してみよう♪
- 情報スペース 2コマ
- 展示スペース 1コマ
- AVコーナー(図書室との動線)1階決定 0.5コマ
- 休憩スペース 0.5コマ
- 教室×3室+備品庫(適宜) 1.5コマ×3室+0.5コマ
- 音楽スタジオ 1コマ
- 器具庫(イベントホール用)2階決定 1コマ
- 会議室 1コマ
以上の要求室を各階に振り分けます。
この時のポイントは施主(記述)にどう説明するかです。
例えば展示スペースは1階でも2階でもどちらでも計画出来ると思います。
- 1階に配置する場合 主出入口(風除室)に近接させる事で視認性に配慮した。
- 2階に配置する場合 イベントホール・レストランを利用する大勢の利用者が気軽に立ち寄れるようにする為動線の起点となる階段・EVに近接させて計画した。
正直小さな要求室の配置計画は合否に影響が少ないと思います。
皆様も施主の立場で考えて下さい。
吹抜け・イベントホール・屋上庭園等要求面積の大きい居室の計画を妥協されると皆様も指摘すると思います。
しかし、備品庫の計画が上手くいかないからと言って指摘しますか?
この一級建築士設計製図試験は100点を目指すとドツボにハマります。
80点プランでも十分合格出来ると思います。
割り切りが大事です(^_^)
1階の要求室の計画
要求面積の大きな居室が綺麗に収まると、小さな居室はある程度適当に計画しても収まります。
逆は無理なので『大きな要求室の妥協=不合格への階段を登る』気を付けて下さい。
1階6番は図書室との動線を考慮してAVコーナーを計画します。
その為ラウンジor託児室で迷った部分は面積の小さなラウンジを計画します。(託児室2コマ・ラウンジ1.5コマ)
2階の同じスペースに託児室を配置しました。
記述では『面積がピッタリなので配置しました』と書いては駄目ですよ。
一長一短あるので記述のフォローが大事になります。
- 託児室は2階の方が日照を確保しやすい。
- ラウンジは待ち合わせスペースを兼ねる為、利便性を考慮
こんな感じで言い訳王子・王女になって下さい。
1階5番は一コマで収まる展示スペースを計画、3.4番に情報スペースを計画します。
記述には外部からの視認性に配慮で大丈夫だと思います。
1.2番はW/Cと1コマ余ります。音楽スタジオか会議室を計画します。
どちらとも1階に配置する根拠がない為番号を振って先に進みます。
W/Cは2mの廊下を計画して管理部門からの動線を確保します。
2階の要求室の計画
イベントホールに器具庫を隣接させて計画します。
そして管理用階段・EVの隣をW/Cにする事で1番への動線を確保しました。
1番に配置する要求室が見つからない為次に進みます。
1階の1番とセットで考えると良いかも知れません。
現在の候補は音楽スタジオと会議室です。
後は空いている2階4番のスペースに休憩コーナーを計画しました。
- 1階の休憩はラウンジ
- 2階の休憩は休憩スペース
- 3階の休憩は屋上庭園&和室
と配置すると上手くいきそうです。
3階の要求室の計画
3階は教室3室+備品庫が計画出来れば全体の計画として上手くいきそうです。
最初に左側(1.2.5番)から教室×2室を1.5コマずつ計画します。
そして4は和室までの動線を確保する為W/C、3番に教室を1.5コマで計画します。
計画してみるとホールがガタガタになってしまいました。
その為少しプランを変更して右側の形にしました。
※廊下が3mと総合資格学院の課題にしては狭いかも知れません。
全体の計画を最終調整
3階の計画が終わると、後は1.2階の空いているスペースに要求室を計画していきます。
最後に面積チェックですが、先ほどから面積が変わっていない為、後2コマどうにかして削らなければいけません。
※会議室と音楽スタジオの配置は特に理由はありません。
スパンを調整して面積を減らしましょう♪
全体の計画を見てスパン調整出来そうな箇所を探します。
X方向
X方向西側1.2番目は教室1.2の面積に影響が出ます。
X方向中央3.4番目も図書作業室・管理用階段・EVに影響が出ます。
X方向東側5.6番目も図書室に影響が出ます。
今回はX方向のスパン調整は難しそうです。
Y方向
Y方向北側1.2番目はやはり図書室に影響が出ます。
最後にY方向南側3.4番目は良い感じに面積調整が出来そうです。
4番目を6mで計画して面積チェックをします。
42m×27m=1134㎡×3階=3402㎡ イベントホール182㎡+吹抜け×2層=364㎡+屋外庭園182㎡=-728㎡+3402=2674㎡≦2700㎡ OKです。
3階の廊下幅が気になるかも(´・ω・`)
3階の廊下幅が気になる為Y方向北側から3番目のスパンを6mに変更してY方向北側から2番目のスパンを8mに変更します。
そうする事で3階ホールがゆとりある広さを確保する計画としました。
吹抜け・イベントホールも要求面積が約150㎡だったので全体の計画としても問題ないと思います。
面積チェック
全体を再チェックすると9㎡オーバーしていました。
その為2階の休憩スペースとレストランの間にテラスを計画して面積を調整しました。
最終的には2688㎡で完成です。
図書室天井高さ3m以上の意味
天井高さ3m以上の意味は特にないと思います。
今回の課題はちょっと違うのですが、基本的に天井高さ3m以上と指定されている課題は、空調方式に単一ダクトが指定されていると思います。
何を意味しているかというと『階高4.5mで計画して下さい』とのメッセージです。
単一ダクトで計画する場合ダクトスペースを500mm確保して下さいと言われていると思います。
大梁500mm×800mmで計画すると余りが200mmしか残りません。
パッケージの場合は200mmでOKになっていると思います。
設備屋の受験生は不満でしょうけど、これは試験なので割り切って下さい。
梁を貫通させたり、潰せば・・・とか考えては駄目です(T_T)
空調方式が単一ダクト指定の場合も通常であれば天井高さを2.7mで計画している受験生が多数だと思いますので、気にしてなかったかも知れません。
※僕はいつも3mで計画しています。
その為天井高さ3m指定+単一ダクト指定だった場合は素直に階高4.5mで計画して下さい♪
普段書き慣れていないと断面図苦戦すると思うので今時期にしっかり作図練習しておいて下さい♪
あ!0.5m階高が上がると階段の段数が3段増えます。お忘れなく(^_^)
まとめ
今回の課題も一つ一つのヒントを丁寧に繋げていければ、それほど難しい課題ではなかったと思います。
解答例をまだ見ていないので何とも言えませんが、個人的には上手くまとまったと思います。
課題を解くヒントは必ず課題文の中に隠されています。
焦らず出題者の意図を見つけて頂ければと思います。